ナルミは鏡の前で身支度を整えながら、微かな緊張と期待に胸を躍らせていた。白地に薄紫の藤が咲いた浴衣を丁寧に身にまとい、帯を結ぶ。髪を上げると、うなじが汗でほんのり湿る。
花火大会が終わった帰り道。同じく駅に向かっているであろう人達の群れの中を、私リサは、そわそわしながら彼氏のカイトと手を繋いで歩いている。…