16. 攻守交代
冷蔵庫での発見
ふとナツは喉に乾きを覚えた。「喉が乾いた」と言うナツに、タカシが「さっきコンビニで買ったお茶が冷蔵庫に入ってるよ、持ってこようか」と言ってくれる。
「ありがとう、でも自分で持ってくるね」
ナツはそう断ると、ベッドから立ち上がり、冷蔵庫を開け、中を覗き込んだ。目当てのお茶を探していると、ふと目に留まったのは小さな瓶。その美容ドリンクは明らかに女性向けだった。
「見つかった?」タカシの声が背後から聞こえる。
「あ、うん…」ナツは少し戸惑いながら答えた。
心の中で思う。タカシの「誰とも付き合っていない」という言葉。本当のところはどうなのだろう。でも、自分だって人のことは言えない。既婚者でありながら、タカシと関係を持ってしまったのだから。
(男ってほんと…)
ナツは小さくため息をつく。
(でも、自分だって、男なしには生きられない「女」というサガを背負ってる…)
そう。それはこのマッチングアプリをめぐる冒険を通じて、哀しさと切なさとともに、何度もナツが実感した事実だった。
ナツは思った。タカシが離れられないくらい魅力的な女であればいいだけだ。それは元夫に対して自分ができなかった、いや、やろうともしていなかったことであり、新しく自分に課すべき挑戦だ。
冷蔵庫から取り出したお茶を飲むと、ナツはゆっくりとタカシの元へ向かった。
攻守交代
「タカシ…」ナツはタカシの隣に座ると、艶のある声で呼びかけた。「もう一回しよう…」
タカシは彼女の腰に手を回し、優しく引き寄せた。二人の唇が触れ合う。最初は優しく、そして次第に情熱的になっていく。
「タカシ、今度は私の番よ」とナツは囁いた。
タカシの目が驚きと期待で輝く。
ナツはタカシをベッドに押し倒し、上目遣いで誘うように見つめながら、タカシの首筋に口付けを落としていった。彼女の瞳は潤んでいて、官能的な光を宿していた。
「あっ…」
タカシはナツの舌使いに甘い声を上げた。彼女の舌はねっとりと首筋を這い登り、耳朶、頬と続く。ナツの髪がタカシの肌を優しく撫で、官能的な感触を残していく。
「タカシ…感じてる?」
ナツはタカシの耳元で甘く囁き、彼の乳首に舌先を這わせた。彼女は乳首をじらしつつ、丁寧に愛撫する。時折、甘噛みをしてタカシを煽る。
「んっ…あぁ…そこ、気持ちいい…」
タカシはナツの乳首攻めに体をよじらせ、甘い吐息を漏らした。タカシの反応を楽しむように、ナツは彼の乳首を口に含み、甘噛みしながら舌で刺激した。そのまま、彼女はタカシの腹筋をなぞりながら下へと降りていく。
「ここも…じっくり味わいたいな」
ナツはタカシの肉棒に顔を寄せ、先端に軽くキスをした。2人の熱が部屋の雰囲気をさらに熱くしていく。彼女はゆっくりと肉棒を口に含み、根元まで深く咥えると、ゆっくりと頭を上下に動かし始めた。
「あぁ…っ」
タカシはナツの髪を掴み、耐えきれず腰を反らした。ナツはタカシの動きに合わせながら、彼の肉棒を味わうように吸い上げていく。ねっとりとした水音が部屋に響き、二人をさらに興奮させた。
「こんなに大きく、熱くなっちゃって…。どこに入れたいの…?」
ナツの瞳は欲望に満ち、エロティックな光を放っていた。
「ナツのあそこに…早く入れたいよ…」
ナツはタカシの肉棒から口を離すと、タカシの固くなった肉棒を愛おしむように避妊具を付けてやった。
「私も…入れたい」
そう言うと、ベッドに手を付き、腰を振りながら彼の肉棒を自分の中へと導いた。背面騎乗位の体勢で、ナツはゆっくりと腰を沈め、タカシの肉棒を奥まで受け入れる。タカシの肉棒が彼女の中に埋まっていく感覚に、二人とも息を呑んだ。
「あぁっ…」
二人の甘い喘ぎ声が重なり、部屋は官能的な雰囲気に包まれる。完全に結合した状態で、ナツは少し動きを止めた。タカシの顔を振り返り、微笑む。
「タカシのあそこ、大きくて気持ちいい…」
「俺も…すごく気持ちいいよ…」
ナツはゆっくりと腰を動かし始め、タカシの肉棒を味わうように、自分の奥で感じ、その快感のままに声を漏らす。同時に時折、背中を反らせて乳房を揺らし、タカシを挑発した。
「すごい…ナツ…」
タカシはナツの官能的な姿に魅了されつつ、彼女の乳首に手を伸ばす。ナツがタカシの乳首攻めに甘い声を上げる。
「ナツ…こっち向かない…?」
無言で頷いたナツは、肉棒を膣内に迎え入れたまま、体をタカシに向かって器用に回転させた。肉棒にまとわりつく襞が回転する快感に、タカシの肉棒が限界を感じて引きつく。
「あぁっ…ダメそれ、イきそう…」
官能的に微笑んだナツは、タカシのほうに向き直り、しばらく腰使いを止め、次はタカシの乳首に舌を這わせて責め立てた。急な別種類の快感に、タカシは身を捩って震えた。
やがて、ふとナツが腰使いを再開する。タカシは彼女の腰を支えるように手を添えた。
ナツは自分のペースで腰を振り続けた。時に早く、時にゆっくりと。タカシの肉棒を味わい尽くすように、自分の奥で搾り取るように。彼女の喘ぎ声が部屋中に響き渡る。
「タカシ…見てて…私の…あぁ…エッチな姿…」
タカシは彼女の言葉に刺激され、ナツの騎乗位の動きに合わせて腰を突き上げる。
「ナツ…綺麗だ…セクシーだ…」
二人の動きが徐々に激しくなっていく。ナツの髪が汗で濡れ、顔は快感で歪んでいた。
「あぁっ…だめ…、ヤバい…!イッちゃっていい…?」タカシの声は上ずっていた。
「いいよ…私もイきそう…」
ナツの腰使いはどんどん大胆になり、ベッドが激しく揺れる。タカシもナツの騎乗位の動きに合わせ、彼女の奥を突き上げると、二人は同時に絶頂を迎えた。
「あぁっ…」
激しい快感に、ナツは倒れ込むようにタカシに抱きついた。しばらくの間、二人は動かず、ただ互いの呼吸を感じ合っていた。
冒険の終焉
やがてナツが顔を上げ、タカシと目を合わせた。
「タカシ…ありがとう」
タカシは優しく微笑んだ。「こちらこそ…ナツは本当に、エッチの度に別人のようだね」
ナツは頷いて言った。「そう見えるんだ…でも、そのどれもが本当の私なんだ」
タカシは彼女の髪を優しく撫でた。「そうか…それなら、これからもその『本当のナツ』を見せてほしいな」
ナツは微笑んで頷いた。
・ ・ ・
結合を解いて横になると、タカシが改めてナツに尋ねた。
「ねえ、改めてになるけど、俺達、付き合わない?」
「うーん…」ナツは、タカシの腕の中で心地よい余韻に浸りながら、ふと思い出したように尋ねた。
「ねえ、タカシ。あの美容ドリンク、誰のだったの?」
タカシの体が一瞬固くなるのを感じ、ナツは内心くすりと笑った。
「え、…もしかして冷蔵庫のやつ…?」タカシは言葉を詰まらせた。
ナツは意地悪く笑みを浮かべた。
「他の女の子とも遊んでるんでしょ?」
タカシは慌てて釈明しようとした。
「今はもうずいぶん遊んでないよ!ナツから返事の来なかった間、寂しくて少しだけ…」
ナツは、困惑するタカシの顔を見て、もう我慢できずに吹き出した。
「そんなに慌てなくていいよ。これまでのことはお互い様なんだから」
タカシは一瞬呆気にとられたが、すぐに状況を理解し、安堵の表情を浮かべた。
「ナツ、君は…」
「ふふ、ごめんね。少しからかいたくなっちゃって」ナツは優しく微笑んだ。
「タカシ、私でいいなら、付き合いたい」
「本当に?」
タカシの顔が輝いた。
「…ナツ、うれしい…!ありがとう…!」
2人は再び抱き合い、深いキスを交わした。唇を離すと、タカシはナツの目をまっすぐ見つめた。
「ナツ、いつも会うたびに別人のような君のことが、大好きだ。もっともっとナツのこと知りたいし、大事にしたいと思ってる」
ナツは頬を染め、タカシの胸に顔をうずめた。
「私も…大好き。タカシと付き合えるなんて今も夢みたいって思ってる」
「…それはこちらこそだよ」
ナツはふと思いついて、イタズラっぽい笑顔でタカシに宣言する。
「タカシをずーっと夢中にさせるような、魅力的な魔性の女を目指すから」
その言葉に虚をつかれたタカシだったが、次第に顔に笑みが広がった。
「ナツはもう十分、俺にとって魔性の女だよ。…でもそれは楽しみだな」
タカシは優しくナツの髪を撫で、2人はまた静かに抱き合った。部屋に流れる穏やかな空気の中で、2人の新たな関係が始まろうとしていた。
ナツは、ここに至るまでの日々に不思議な因縁を感じていた。元夫の浮気調査のために始めたマッチングアプリがきっかけで、まさかこんな展開になるなんて。
マッチングアプリをめぐる冒険が区切りを迎えようとしていた。しかしそれはナツにとって、平穏無事な日々への帰還ではなく、新しい挑戦の始まりなのだった。