7. 初めて味わう快感

2024/07/26
ピンク式部
ピンク式部
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潜入調査の進展

 マッチングアプリでの潜入調査のほうも進展していた。ユウトらしき男性が現れたのだ。顔が隠してあるが、写真は見覚えのあるものだった。ナツは慎重にスクリーンショットを撮ったうえで、右にスワイプしたうえでメッセージも送った。

 しかし、返事はなかなか来なかった。もしかして、警戒してアプリの使用をやめてしまったのかも。そう考えるナツの胸に、複雑な思いが渦巻いた。ユウトがマッチングアプリを使っていたことは明白だが、もう少し確実な証拠が欲しい。

 ナツがそう考えていた矢先、タカシから2回目のデートの誘いが来た。

 ナツに断るという選択肢はもはやなく、頭を占めていたのはユウトへの口実だけだった。そうだ、リカにアリバイになってもらおう。

 躊躇なく承諾の返事を送った。タカシと会う。そう考えただけで、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。

2回目のデート

 2回目のデート当日。タカシが予約してくれていたのは、ワインが美味しいという高級レストランの個室だった。柔らかな照明が落ち着いた雰囲気を醸し出し、窓からは夜景が広がっていた。

 二人はL字型のソファシートに座り、ワイングラスを傾けながら食事を楽しみ、会話が自然と弾んだ。タカシが急に話を変えたのはそんな時だった。

「アイちゃん、俺アイちゃんに惚れちゃったかも。こないだからそればっかり考えてて」

「え…」

 ナツの心臓が跳ね上がった。

「実は、中学の時に好きだった後輩の子がいてさ。ナツっていう名前だったんだけど。アイちゃん、その子に面影や雰囲気が似てるんだ」

 ナツは嬉しさと驚きで頭に血が上り、何も考えられなくなった。タカシの言葉が耳の中でぐるぐると回る。中学生の時から?本当に?中学時代のタカシ先輩の、他の女子に向けられた笑顔が頭にフラッシュバックする。

「ごめんごめん、こんなこと言われても困るよね」

「いえそんな…うれしい…」

 そう返事するのがやっとだった。タカシの顔も心なしか上気している。

「アイちゃんって一見派手に見えて実は謙虚でよく周り見てるでしょ?あとそのこっちが引き込まれるその目。ドンピシャでタイプだって最初から思ってたんだ。…ナツって子もアイちゃんみたいに、整った顔立ちと澄んだ目をしてて。性格は謙虚で、いつも周りを思いやってて。…中学のときは勇気がなくてその子を遠くから見てるだけだったんだけど、今はさすがに大人になったから、アイちゃんのことは逃したくないって思ってる」

 タカシの話を身を固くして聞いた。頬が赤らむのを感じる。

「…あれ、照れてる?」

 タカシがナツに体を寄せる。

「…そりゃあ照れるよ…」

 タカシの顔が近づいてくる。ナツは目を閉じた。

 唇が触れ合う。柔らかく、温かい。ナツの全身に電流が走る。

 キスが終わると、タカシが囁いた。

「もっと一緒にいたい」

 ナツは悩む前に、頷いていた。

「うん…」

 タカシはナツの手を取り、レストランを出た。予想通りホテルに付いたとき、ナツは既に、欲望に抗う術を持たなかった。

ホテルにて

 ホテルの部屋に入るやいなや、タカシはナツを優しく抱き寄せ、また唇を奪った。彼の体は引き締まっており、薄いシャツ越しに筋肉の輪郭が感じられた。

「ん……」

 小さな吐息が漏れる。タカシはそれを聞き逃さず、さらに情熱的にキスを深めていく。舌が絡み合い、唾液を交換する音が静かな部屋に響く。

 ナツの頭の中は真っ白になりかけていた。夫とのキスとは全く違う、甘美な感覚が全身を包み込む。

(こんな……こんなキス、初めて……)

「アイ…可愛いよ」

 タカシの低い声が耳元で響き、ナツは思わずぞくぞくとした。タカシの手が優しくナツの髪を撫で、背中から腰、尻へと全身を辿っていく。唇のほうは首筋へと移動し、そこに軽いキスを落としていった。

「あっ……」

 思わず漏れる甘い声。自分でも驚くほど色っぽい声だった。タカシはその反応を確かめるように、唇を移動させ、耳たぶを噛み、耳珠に唇を這わせた。ナツは快感に身を委ね、目を閉じて息を荒げた。

「あんっ……タカシ……」

 タカシの手がワンピースのボタンに掛かる。ゆっくりと、一つずつ外していく。

「綺麗だ…ブラジャーも素敵、似合ってる…」

 タカシの視線に晒され、ナツは恥ずかしさと興奮で全身が熱くなるのを感じた。

「……ちょっと……暗くしたい……あとシャワー……」

 ナツの言葉にタカシはニコっと笑った。その言葉を予期していたようだった。

  ・   ・   ・

 ナツがガウンを巻いてシャワーから上がったときには、部屋の照明は既に暗くなり、ムーディーな音楽が流れていた。

 タカシが手招きする。

「アイ、おいで」

 ぎこちなくタカシの横に座ったナツを、タカシが優しくベッドに押し倒す。タカシの唇が、ナツの全身を這う。首筋、鎖骨、そして胸元へ。

「ん…あぁ…」

 ガウンが外され、舌先が乳輪をなぞる。

「んっ……」

 ナツの体が小さく震える。乳首が、じれったさに内側から熱くなる。

「……じらさないで……あぅっ!」

 その矢先、乳首に舌先が触れ、言葉となる前の声が空中で融ける。ナツの体が大きく震える。タカシは更に舌で乳首を転がし、軽く吸い上げる。

「んはぁっ!」思わず大きな声が出てしまい、ナツは慌てて口を押さえた。タカシは優しく笑うと、「声を我慢しなくていいんだよ。君の声を聞かせて欲しい」と囁いた。

「あぁっ! だめ……そんなに……」

 快感に翻弄されるナツ。タカシは構わず、もう片方の胸も手で愛撫する。

「アイの喘ぎ声、すごくセクシーだよ」

 タカシの言葉に、ナツは更に顔を赤らめる。しかし、もはや止められない。快感の波が押し寄せてくる。

初めて味わう快感

 タカシはナツの体を丁寧に愛撫しながら、徐々に下半身へと移動していった。太ももの内側を優しく撫で、そっと脚を開かせる。ナツは恥ずかしさで顔を背けたが、タカシは構わず愛撫を続けた。

 ついにタカシの手が秘部へと潜り込む。

「あっ……」

 ナツは息を呑む。タカシの指が下着の上から秘所を撫でる。

「グチョグチョに濡れてるよ……」

 タカシの言葉に、ナツは顔を背けた。まさかホテルに入る前から濡れてたなんて言えない。

 タカシはそんなナツの表情にニヤリと笑うと、ゆっくりとナツの秘所に顔を近づけた。

「あ、だめ……」断ろうとするより早く、タカシの舌が秘所に触れた。

 ユウトにもこれまでクンニはされたことがない。一度打診されたことはあったが、恥ずかしくて一度拒否した以降は、誘われることもなかった。

「やめて……そこ……」

 秘所のすべてをタカシに見られ、女性特有の匂いを嗅がれる恥ずかしさに、ナツの頭の中が真っ白になる。しかしナツの言葉とは裏腹に、体は素直に反応している。

「あぁっ!」

 初めて味わう快感に、ナツは思わず声を上げた。

「もしかして初めて?」 「…実は…そうなの…」 「そうなんだ、嬉しい。忘れられない初体験にしてあげるね」

 タカシの舌が器用に動き、秘所に息づく花びらを刺激する。その度にナツの体が跳ねるように反応した。

「タカシさん……やぁ……そこ……」ナツは息を切らしながら言葉を紡ぐ。タカシはさらに舌で花びらをねっとりと舐め上げ、時に吸い上げ、ナツを快感の渦に巻き込んでいく。

「あっ!はぁ……んん……」

 ナツの喘ぎ声が部屋に響く。ナツは無意識に腰を上げ、タカシの顔に押し付けていた。それでもタカシは舌の動きをやめない。

「イク…イッちゃう…!」

 突然、強烈な快感がナツの体を貫いた。

「あぁっ!」

 大きな声を上げ大きな声を上げて絶頂に達した。ナツの体が弓なりに反り、大きな波が押し寄せる。空の上に飛び出してしまいそうな危うい浮遊感に、思わずタカシの腕をつかんでこらえる。

 イッている時間は何秒だっただろうか、何分だっただろうか。その間にもタカシは舌を動かし続け、ナツの体から緊張がほどけると、ようやく動きを止めた。

 タカシは満足げな表情で顔を上げた。

「気持ちよかった?」と尋ねる彼の声は優しく、でも少し掠れていた。

 ナツは恥ずかしさで顔を両手で覆った。